中学校プログラミング教育の内容は?いつから必修化?

2021年度から中学校で必修化になったプログラミング授業はどんな内容か説明しています。

中学校でもプログラミングが必修化になってるみたいだけど、どんなことを習うんだろう?

小学校に続き、中学校でもプログラミング教育が必修化になっているのをご存知でしょうか?

小学校に比べると、中学校プログラミング教育は非常に地味なスタートとなりましたが、実はもうすでに必修化がスタートしています。

Kacky

この記事では、そんな中学校プログラミング教育の内容についてご紹介したいと思います。

目次

中学校プログラミング教育の内容は?

2020年度から必修化になった小学校プログラミング教育は、「科目」としての「プログラミング」はなく、算数や理科などの「各教科の中」に組み込んで授業が行われます。

それに対して、中学校のプログラミング教育は、

「技術・家庭」科の技術分野で行います。

いつから実施?

あまり知られていませんが、プログラミングの内容自体は「技術」分野の中で、すでに2012年からスタートしています。

しかし今回は、学習指導要領の改訂に伴い、

さらに内容を拡充する形でプログラミング授業の全面実施が2021年度からスタートしました。

技術分野の内容

技術分野は

A 材料と加工の技術

B 生物育成の技術

C エネルギー変換の技術

D 情報の技術

の4つに分かれています。

そして、プログラミングに関する授業は 「D 情報の技術」の中で行います。

D 情報の技術は、さらに以下の4つの内容に分かれています。

(1)生活や社会を支える情報の技術

(2)ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決

(3)計測・制御のプログラミングによる問題の解決

(4)社会の発展と情報の技術

新しく拡充された中学校プログラミング教育の内容

従来から指導内容に含まれていた「D(3)計測・制御のプログラミングによる問題の解決」に加えて、

「D(2)ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」が、2021年度から新たに拡充という形で必修化になりました。

小学校からの内容を引き継ぐ形で、D(1)の範囲でITと社会の関わりやネットワーク社会におけるITリテラシーやモラルを学びます。

主にD(2)とD(3)の内容で、プログラミングを使った授業が行われます。

学習指導要領によると、技術・家庭科は

  • 第一学年70時間(週1時間)
  • 第二学年70時間(週1時間)
  • 第三学年17.5時間(2週に1時間)

となっています。

この中から、家庭科と技術の全4分野の配分をしながら、なおかつ新しく加わったプログラミングの内容も組み込まれます。

従来の「技術」の内容とどこが変わったか

今回新しく加わったのはD(2)「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」の内容です。

特に「双方向」と「ネットワーク」というキーワードがポイントになります。

少し難しい話になりますが、わたしたちは普段、SNSやYou Tubeなどを使用するとき、ユーザーが入力したデータをサーバーが受け取り、サーバーが応答(出力)してそれを自分の画面に画像や映像として映し出す、他人にテキストの形でメッセージを送るといったコンピュータ同士の情報処理が行われています。

こうしたデータを用いて、その処理の仕方をプログラミングすることで「双方向のネットワーク」を実現します。さらに動作の確認、デバッグ等が必要になります。

こんな難しいことを中学生で習うようになるんですね。

中学校プログラミング教育の授業例

引用:中学校技術・家庭科(技術分野)内容「D 情報の技術」におけるプログラミング教育実践事例集 文部科学省

授業例としては、自分が入力したコメントのデータを送信して、他の使用者のコンピュータに表示する機能をもった、シンプルなチャットアプリケーションをプログラミングで再現する授業などが考えられています。

さらに、構内掲示板の作成、AI画像認識技術を活用して社会の問題を解決する、授業や地図コンテンツを活用して防災地図コンテンツをプログラミングする授業例などがあります。

参照:「中学校技術・家庭科(技術分野)におけるプログラミング教育実践事例事例集」文部科学省

D(3)の中でのプログラミング授業

引用:中学校技術・家庭科(技術分野)内容「D 情報の技術」におけるプログラミング教育実践事例集 文部科学省

「(3)計測・制御のプログラミングによる問題の解決」は2012年から授業に取り入れられています。

この部分は、現在小学校で行われているプログラミング授業の延長のような内容になります。

たとえば、

センサーを活用して、電気制御をプログラミングし、それを身の回りの問題解決に役立てるという、内容です。

授業例としては、

  • ロボットカーを用いたプログラミング
  • 掃除ロボットのプログラミング
  • LEDライト制御

などの教材を活用した授業が行われています。

2021年初年度の中学校プログラミング授業の実施状況

2021年7~8月にかけて、特定非営利活動法人みんなのコードが全日本中学校技術・家庭科研究会と共同で行ったインターネットアンケート調査を行いました。https://code.or.jp/news/10370/

引用:プログラミング教育実施調査報告書 みんなのコード

アンケート調査の結果を見ると生徒たちの様々な反応がわかります。

「プログラミングを継続して学びたいか」という質問に対して全体として8割近くの生徒が「今後も学びたい」と答えています。

教員の回答によると、生徒たちは論理的な思考が身につき、グループで試行錯誤しながら課題を解決する力がついてきたというポジティブな観察が見られます。

女の子の中にもプログラミングに興味を示して意欲的に取り組む子もいると回答されています。

一方で、授業についていけず、自分で考えるのをあきらめてしまう生徒もいるようです。

全体として、プログラミング授業に食いつく生徒と、理解できず興味を示さない生徒の二極化がはっきり現れた結果となりました。

一部の生徒がプログラミング授業に関心を示さない理由

一部の生徒がプログラミング授業に食いついてこないのはなぜでしょうか。

一つは、それらの生徒はもともと勉強が苦手だということです。

そもそも数学や体育など、どの科目であっても、得意・不得意、学力の高い・低い生徒がいます。それは内容がコンピュータサイエンスやプログラミングであっても同じです。

もう一つの理由は、家庭環境や親のITリテラシーが生徒のプログラミング授業への反応に影響してるということです。

先程のアンケートによると「今後もプログラミングを学びたい」と答えた生徒は全体的には8割いるのに対し、保護者のプログラミング観が消極的(プログラミングが仕事に関連するものだとは思わない)な場合「今後も学びたい」と答えた生徒は19.0%にとどまり、「これ以上学びたいとは思わない」と答えた生徒の割合は81.0%に上ります。

このことから、生徒がプログラミングやITに対してポジティブな見方を持つかどうかは、親のITに対する考え方に大きく影響されていることがわかります。

保護者が「ITにあまり関心がない」と答えた家庭では、子どもが使用できるコンピュータが家にないケースが2割以上に上り、小学校のときにパソコンを使ったことがなくキーボードやマウスの操作が身についていない生徒は、関心や意欲が低くなりがちの傾向にあることがアンケートの結果からも明らかになりました。

ポジティブな反応に期待

ただ、アンケート結果によると、開発者目線で物事を見られるようになった生徒や、将来の職業としてエンジニアや、プログラマーの仕事に関心を持つようになった生徒、原因や解決策を理論立てて考えられる生徒が増えた、などポジティブな影響も出ていることもみられます。

全員は無理でも、プログラミング授業がきっかけで才能を開花する生徒がもっと出てきてほしいと思います。

まとめ

この記事では中学校で2021年度から全面実施となったプログラミング教育の内容についてご紹介しました。

中学校のプログラミング教育は技術家庭科の「技術」のD分野で行われます。

内容が高度になる割に、授業時間数は少なく、駆け足で進むため、生徒の関心も2極化してしまっているのが現状でした。

結論として、小学生のうちに基本的なパソコン操作を習ったり、プログラミングに触れたりしておくことは今の時代必須になっているということが伺えます。

こう考えると、プログラミングの習い事はあながち無駄にはならないですね。

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