なんで子どもにプログラミングを習わせるんだろう?
このような疑問を持たれたことはありませんか?
株式会社やる気スイッチグループが2022年に行った親子アンケートによると、「保護者の7割は学校のプログラミング教育で何をしているか知らず、4人に1人はプログラミングの必修化を知らない」と回答しています。
(ソース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000471.000028894.html)
2020年度から小学校でプログラミングが必修化になりましたが、その実態がイマイチよくわからないのが現状です。
なんで子供がプログラミングを勉強しなきゃいけないの?
子供がプログラミングを学ぶ必要って本当にある?
このような世間の声もよく聞かれます。
そこでこの記事では、
- 子供たちがプログラミングを学ぶのはなぜか
- プログラミング教育の現状
- 子供のときにプログラミングを学ぶことのメリット
について、わかりやすく解説したいと思います。
- 子どもがプログラミングを学ぶ理由がわからない方
- 子どものときにプログラミングを学ぶメリットを知りたい方
- プログラミングの習い事に関心はあるけど、特に何も考えていない保護者
- そもそもプログラミングについてよくわからない保護者
そもそも子どもたちが学ぶプログラミングとは?
「小学校でプログラミングを習う」と聞いて、黒い画面に向かって難しい呪文のようなソースコードをタイピングで打っていくところを想像する方もいるかも知れませんが、実はそうではありません。
子供が習うプログラミング言語はビジュアル言語といって、指示の書かれたブロックをマウスを使ってドラッグ&ドロップで動かしたり、指でタップしたりして順番通りに組み合わせる、初心者向けのプログラミング言語でプログラミングします。
小学校低学年では、パソコンやタブレットなど電子機器を使わずに、命令の書かれた紙のカードを必要な順番にならべて指示を出す、アンプラグドのプログラミングも取り入れられています。
また、子供向けのプログラミング教室でも「Scratch(スクラッチ)」や「Qureo(キュレオ)」などのビジュアルプログラミング言語を使ったプログラミングを教えています。
また、ロボット教室でも「Scratch」と同じようなビジュアル言語でプログラミングを習います。
高校の「情報Ⅰ」では、一気にレベルが上がり、ソースコードを打ち込むタイプのテキストプログラミングが必修になります。2025年から大学入試でも「情報」からテキストプログラミングの問題が出されるようになります。
子どもたちはなぜプログラミングを学ぶのか
実は、プログラミング教育が行われているのは日本だけではありません。
実際、欧米やアジアの国々では、かなり前から子供たちへのプログラミング教育が取り組まれていて、日本は逆に遅れているぐらいです。
では、なぜ世界中で子供たちはプログラミングを学んでいるのでしょうか。
教育側の視点と、エンジニア側の視点の両方から考えていきましょう。
急速なIT化が進んだという時代背景
まず、教育側の視点です。
「プログラミング教育」必修化は、平成29(2017)年に行われた「新小学校学習指導要領」の改訂に伴い令和2(2020年)度から実施されています。
プログラミング必修化の背景として、1990年代後半から急速に進んだIT化の流れがあります。いずれは、今の仕事の多くはAIに取って代わられると言われています。
プログラミング教育は、日本の子供たちが時代の変化に取り残されないよう、将来を生き抜く力を身に着けさせることを目的として始まりました。
また、コンピュータについての理解を深めることも狙いの一つとされています。
わたしたちの身の回りで使われている便利なものにはコンピュータが入っています。その便利な機能はほとんどすべてプログラミングによって制御されているということを、子供たちが体感できるような授業が期待されています。
また、プログラミング教育を通して、将来のIT人材の育成につなげたいという期待もあります。
日本はアメリカや中国、他の先進諸国と比べても、IT産業でかなり遅れをとっていて、IT人材不足がこれからますます深刻になると予想されています。
プログラミング的思考を身に着けさせるため
文部科学省によると、小学校期におけるプログラミング教育の目的のひとつは、プログラミングスキルではなく、「プログラミング的思考を身に着けさせる」とされています。
「プログラミング的思考」の解釈については諸説ありますが、簡単に言うとプログラマーがプログラミングをするときに使うような考え方、つまり論理的思考、課題解決力、段取り力、などと言い換えられます。
このような思考の型は、ビジネスでも役立ち、プログラマーにならなくても子供たちが将来社会に出たときに役立つものです。
できたら、全員が身につけていたいものですね。
それで、プログラミング的思考を身につけるため、子どものときからプログラミングを学ぶと良いとされています。
プログラミングは算数や数学の延長
プログラミングは算数や数学と深い関係にあります。
Scratchのような一見かんたんに見えるプログラミングでも、足し算や引き算、関数などの算数や数学の概念がたくさん必要になります。
プログラミングはプログラマーだけの特別なスキルではなく、やがて誰もがある程度は身につけておくと良い、掛け算の九九のような当たり前のスキルになっていくと考えられています。
プログラミングは「現代のそろばん」のようなものとも言われています。
プログラミングは「算数や数学の延長」と考えると、子供のときにプログラミングを学ぶのには意味があると言えます。
やりたいことを実現するためにプログラミングを学ぶ
では、エンジニアサイドの観点でプログラミングを考えてみましょう。
まず、前提として、プログラミングは、手段であって目的ではありません。
プログラミングは、「ゲームをつくる」「アプリをつくる」「システムをつくる」「家電の動きを制御する」など、実現したいことがあってはじめて必要になるもので、プログラミングをすること自体が目的ではありません。
例えば、小学校プログラミング教育では、「音楽を鳴らす」「絵を動かす」「正多角形を書く」「電気のスイッチの制御をする」などの目的を実行するための手段としてプログラミングを使います。
つまり、
プログラミングは、プログラミングを使って何がしたいか、が重要になります。
プログラミングを科目や学問のように子供たちに勉強させてしまうと、ちっとも楽しくなく意味がないと言う意見がありますが、それはもっともだと思います。
- 動く絵本をつくる
- シューティングゲームをつくる
- AIで顔認識するアプリをつくる
- 音楽をつくる
- ロボットやドローンの動きを制御する
- ママが部屋に近づいてきた探知機をつくる
子どもがプログラミングを学ぶメリットは?
ここまで子どもがプログラミングを学ぶ理由について考えてきましたが、ここから子どもがプログラミングを学ぶメリットについてさらに深堀りしていきましょう。
5つのメリットを取り上げたいと思います。
- プログラミング的思考が遊びながら身につく
- モノの仕組みについて考える機会になる
- 課題解決スキルを身につけられる
- 算数や数学などの理数系の能力が伸びる
- 職業にできるかもしれない
プログラミング的思考が遊びながら身につく
子どもがプログラミングを学ぶ1つ目のメリットはプログラミング思考が遊びながら身につくということです。
先程も取り上げましたが、「プログラミング的思考」と呼ばれているフレームワークは、ビジネスパーソンや経営者にとっても必要なスキルです。
プログラミングの例
例えばScratchを使って、キャラクターの絵を動かしたいとします。そのとき以下のことを考えます。
- どのように動かしたいのか
- その動きにするため、どんなプログラムが必要になるか
- どんな手順(アルゴリズム)が必要になるか
- どういう順番で並べれば命令をすれば思った通りに動くのか
そして、実行します。
すると、予想外の動き(バグ)をするときがあります。
このとき、何が原因で思い通りに行かなかったのか考え、試行錯誤で色々試してみます。
プログラミングをするときに、頭の中ではこのようなことを考えています。
ビジネスパーソンが必要なプログラミング的思考
経営者やビジネスパーソンにとってもプログラミング的思考は必要です。
- 何が課題になっているかを見つけ出す
- 課題を解決するために必要なプロセスを細かく分ける
- Aの結果ではこのようにし、Bの結果ならこのようにする、と色々なパターンを予測しておく
- うまくいかなかったときに、原因を見つけ出し対策を立て直す
- 部下や社員に確実に意図が伝わるような指示が出せる
子どものプログラミングの習い事では、こうした論理的な思考パターンを遊びながら身につけていくことができます。
モノの仕組みについて考える機会になる
プログラミングを学ぶことにより、子どもたちはコンピュータや、機械のしくみについて知れるというメリットもあります。
わたしたちは普段の生活で、家電や自動販売機を使うとき、「このボタンを押せばどうなるのか」はわかっても、「どんなしくみでそれが動いているのか」は謎のままです。
プログラミングを学ぶことにより、また、普段当たり前のように使っているWEBアプリやスマホアプリが動くしくみやゲームが動くしくみについて考える機会になります。
こうした体験は、将来ユニークなプロダクトを生み出すきっかけになるかもしれません。
課題解決スキルが身につけられる
遊びながら行うプログラミングで、子供たちは課題解決能力を身につけることができます。これが、プログラミングを学ぶ3つ目のメリットです。
プログラミングの過程では、子供向けの簡単なものから、システム開発のプロジェクトに至るまで、必ず「バグ」が生じます。
プログラミングは指示したとおりにしか動かないので、バグが生じるときは、どこかで指示が間違っていたことになります。
例えば、数字やアルファベットの全角か半角といったタイプミスがバグの原因となることがあります。
その「間違った指示、バグを発見し、修正する」過程で、粘り強くあきらめない力、課題を発見し、課題を解決する力が身についていきます。
算数や数学などの理数系の能力が伸びる
子どもがプログラミングを学ぶ別4つ目のメリットは理数系の能力が伸びるという点です。
さきほども触れましたが、プログラミングには算数や数学の要素が含まれています。
プログラミングをすることにより、計算する機会が増え、結果として理数系の能力が遊んでいるうちに知らぬ間に鍛えられます。これは大きなメリットです。
職業にできるかもしれない
子どものときにプログラミングを学ぶ最後のメリットは、将来、職業にできるかも知れないという点です。
子どものプログラミング教育に関する保護者アンケートで、約9割の保護者がプログラミングは進学や就職に有利であると考えていることがわかりました。
プログラミングの習い事がきっかけで、中高生のうちにアプリ開発ができるようになり、その道に進んだという例もたくさんあります。
現職のプログラマー、エンジニアで、すでに子供の頃からプログラミングを独学で始めていたという人もけっこういます。
日本では、エンジニアの需要が高いため、IT関連のスキルを持ってれば食いっぱぐれることはないでしょう。
手に職があるのは、これから先の不安定な世の中を生き抜くのに必要なことです。
課題は子どもたちがプログラミングを学ぶ環境が整っていない
このように、子どもたちがプログラミングを学ぶのには多くのメリットがあります。
しかし、現状では冒頭であげたアンケートの結果からもわかるように、多くの保護者を含め、世間一般の認識では子どもが学校でどのようにプログラミングを習っているのかよくわからない状態です。
では、子どものプログラミング教育に関してどんなことが課題になっているでしょうか。
学校の先生にとってプログラミングは専門外のこと
当然のことながら先生たちの多くは、プログラミングを勉強したことがありません。先生たちにとってプログラミングは専門外のことで、新たに学ばなければいけない知識です。
ただでさえ忙しい校務の中で、プログラミング授業のための研修を受け、授業の準備をするのは先生たちにとって大きな挑戦です。
しかも、プログラミング必修化の初年度となった2020年には、新型コロナウィルスのパンデミックによる休校、オンライン授業への切り替え、GIGAスクール構想の前倒しによる生徒1人1台、タブレットの配布とタブレットを用いた授業への準備等、先生たちはプログラミングにまで手が回らなかったという事情もあります。
プログラミングの教え方はまだ手探り
小学校期におけるプログラミングを用いた授業は、各科目の中で行うことになっています。
しかし、教科書にプログラミングの事が書かれているわけではなく、プログラミング授業は教育委員会、各学校に任されており、先生たちもどうしたらよいかまだ手探りの状況が続いています。
プログラミングの教材も手探り
プログラミング授業に用いる教材に関するアイデアも無数にでており、どの教材を採用するかの判断も各学校に委ねられています。
最も多くの学校で採用されているのは、前述のScratch(スクラッチ)ですが、Scratch以外の教材を採用する学校も多くあります。
小・中学校で採用されているプログラミング教材を少し挙げただけでもいろんな種類があります。
- Scratch(スクラッチ)
- micro bit(マイクロビット)
- 各社ロボットプログラミング
- Springin’(スプリンギン)
- Viscuit(ビスケット)
- マインクラフト
もちろん、これらの教材にはそれぞれの良さがあり、どれか一つの教材に統一する必要はないでしょう。各学校やメーカー、プログラミング教室等が協力して、効果的なプログラミング授業の成果が出ています。
プログラミングの習い事は子供の才能を引き出すきっかけづくり
子どもがプログラミングを学ぶ必要はない、という意見もあります。
子どものときはもっと体を動かし、自然に触れ、パソコンや電子機器の画面から離れて本を読んだほうがいい、というわけです。
確かにその通りです。バランスが必要です。
しかし、子どもがプログラミングを学ぶことには多くのメリットもあります。
小中学校では、年間のスケジュールの中でプログラミング授業に当てられるのはほんの数コマです。
実際のところ、学校のプログラミングから得られるものはそれほど多くはないでしょう。
そういった意味で、プログラミングをじっくり学ぶには、プログラミング教室に通ったり、通信教育を受けたりすることで補足することが場合によって必要になります。
プログラミング教室では学校では習えないことを学べる
プログラミングの習い事に関心を持っている保護者は多いですが、まだそこまで必要性を感じていない方のほうが多いのが現状かもしれません。
多くの保護者にとって、プログラミングは得体の知れない未知のものです。
自分で教えてあげられれば、それが一番理想ですが、なかなかそうもいきません。
自分では教えてあげられないので、プログラミングの習い事という選択肢があります。プログラミング教室に通わせれば、学校では身につかないプログラミング特有の思考やスキルが子どものものになります。
オンラインのレッスンや通信講座なら、送り迎えの手間もなく自宅でプログラミングを学ぶことができ、特にコロナ禍で人気になっている学習方法です。
まとめ
子どもがプログラミングを学ぶと良い理由
- 急速なIT化という時代背景で必要になった
- プログラミング的思考を身に着けられる
- プログラミングでやりたいことが実現できる
子どもがプログラミングを学ぶメリット
- プログラミング的思考が遊びながら身につく
- モノの仕組みについて考える機会になる
- 課題解決スキルを身につけられる
- 算数や数学などの理数系の能力が伸びる
- 職業にできるかもしれない
プログラミングは、WordやEXCELのように身に着けておくと仕事で役立つ便利なスキルです。
また、将来ビジネスパーソンになったときに役立つ思考のフレームワークを遊びながら身につけられます。
もし、Scratchもプログラミングもよくわからないという保護者の方は、一度プログラミング教室の無料体験を受けてみることをおすすめします。
プログラミング教室に入る意思はなくても大丈夫です。子どもがプログラミングを学ぶとはどういうものかを保護者がイメージしやすくするために体験を利用するということです。
記事を最後までお読みくださりありがとうございました。
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