【かんたん解説】STEM教育とは?STEM教育はどんな目的があるの?

STEM Education

最近よくSTEM教育という言葉をよく見るんだけど、どういう意味?

小学校でプログラミング教育が必修化になるのが決まったあたりから、日本でもよくSTEM教育という言葉をよく見かけるようになりました。

STEM教育は、サイエンス教育に関係があるのかな、というところまではなんとなくご存知かもしれませんが、どんな目的があるのか、日本の学校で教えてくれるのか、このあたりが漠然としていてちょっとわかりにくく感じますね。

そこでこの記事では

  • STEM教育とはそもそも何のことか。
  • STEM教育にはどんな目的があるのか。
  • プログラミング教育はSTEM教育なのか。

この3つの質問にお答えして、かんたんに解説してまいります。

目次

STEM教育とはそもそも何?

STEM-Education

まず「STEM」とは、

Science(科学)

Technology(技術)

Engineering(工学)

Mathematics(数学)

のそれぞれの頭文字をとった略語で「ステム」と読みます。

「STEM教育」とは簡単に言うと

科学・技術・工学・数学という理数系教科をそれぞれ単体で学習するのではなく、4つの領域を横断的に、複合的に組み合わせて、体感的に学んでいく新しい形の理数系教育

のことです。

そして、STEM教育でもうひとつ大切なことは

STEM教育は生徒が中心

というところです。

STEM教育の成り立ち

STEM教育は2000年代にアメリカで始まった教育モデルです。

IT技術者が足りない

という問題を解決するために出てきた考え方です。

その後、多くの著名人が「STEM教育」の考え方に賛同して世界に広まっていき、オバマ大統領が就任しているときに本格化していきました。

就任式でオバマ大統領がスピーチで語った

「これから君たちはゲームで遊ぶだけじゃなくて、ゲームを自分たちで作ってみよう」

という呼びかけは有名です。

アメリカでは「国力を上げるためにはエンジニアの育成が欠かせない」として、政府が多額の予算を投じ、国家戦略としてSTEM教育に取り組んできました。

幅広い知識を持った人材が、その知識を組み合わせて、複雑な社会の問題を解決する手段を提供できるのではないか、そんな期待のもと広まっていきました。

現在、欧米を中心に、アジアの各国でもSTEM教育が盛んに行われています。

近年はこのSTEMに Art の A を加えたSTEAM(スティーム)教育が主流になってきています。

STEM教育とSTEAM教育の違いについては別の記事で詳しく解説していますのでそちらをご覧ください。

STEM教育と従来教育との違い

STEM-Education02

STEM教育は21世紀型の教育とも言われています。

なぜなら、これまでの理数系教育と以下の点で学び方が大きく異なるからです。

それは、以下の3点です。

従来教育との違い

  1. STEM教育は横断的な理数系教育である
  2. STEM教育は先生の講義ではなく生徒が中心になって体感的に学ぶ
  3. STEM教育は協働作業・課題解決スキルを向上させる

では、さらに深堀りしていきましょう。

①STEM教育は横断的な理数系教育

従来の学習では、「科学なら科学」「数学なら数学」といったように一つの領域を深く掘り下げて、縦割りの教科領域しか学ぶことができませんでした。

しかし、実際にモノを作っていくときは、「エンジニアリング」の知識だけではなく「サイエンス」や「数学」で勉強したことを総動員して「テクノロジー」に応用することが必要になってきます。

であるなら、学びの場でも柔軟な学び方をしなければなりません。

STEM教育では、「モノ」を作ったり動かしたりしながら、

科学(サイエンス)・技術(テクノロジー)・工学(エンジニアリング)・数学(マスマティクス)

の4つの領域の知識を横断的に同時に学んでいきます。

②STEM教育は先生の講義ではなく生徒が中心になって体感的に学ぶ

STEM教育はプロジェクト型の教育です。

従来の「先生は教え、生徒は覚える」といった受け身の教育とは違って、

STEM教育は子どもたちがロボットやITテクノロジーに直接触れながら、自分で考え学ぶ力を養います

「さあ勉強するぞ!」と構えて行う学習ではなく、遊びを通して体感的に「気づきながら」行う学びです。

遊びは学びの本質です。

子どもにとって本当に大切なことですね。

ここが、STEM教育と従来の暗記型教育と大きく異なる点です。

③STEM教育は協働作業・課題解決スキルを向上させる

従来の理数系教育では、1つだけ存在する「正解」に生徒が正しくたどり着けるよう導く、という教え方をしましたが、STEM教育においては「答え」は必ずしも1つではありません。

先生が「正解」を持っているわけではなく、答えのない課題をみんなで協力して解決することがSTEM教育で最も重要な過程になります。

答えの用意されていない課題に取り組むのがSTEM教育です。

そもそもまず最初に「問題が何か?」ということがわかっていないこともあります。

それでまず、問題を正しく設定して、課題に取り組むところから始めます。

そして、解決までは辛くても、仲間と一緒に協力して楽しく学ぶことがSTEM教育の醍醐味になります。

STEM教育の目的

では、STEM教育にはどんな目的があるでしょうか。

ひとことで言ってしまえば、AI時代の人材を育成するのが目的です。

STEM教育の最終目標は「理数系を体感的に横断的に教える」ことではなく、

学んだ知識を活用して

社会に新しい価値を生み出すプロダクトやソリューションを提供する人材を育成する

ということを目的としています。

日本でSTEM教育は必要

ところで、GAFA(ガーファ)という言葉をご存知でしょうか。

Google・Amazon・Facebook・Appleの頭文字を取った、アメリカの4大巨大IT企業を表す言葉です。

Facebook社は2021年10月28日に社名を「Meta(メタ)」に変更しました。

しかし残念なことに、日本ではいまだにGAFA(ガーファ)に匹敵するようなIT企業が育っていません

それどころか、かつての後進国、中国のIT企業にはるか先を越されてしまっています。

日本の社会は、系列会社や、下請け企業を中心とした親子関係が強い保守的な企業体制で築かれていて、革新的なベンチャー企業が育ちにくい環境にあります。

もっと柔軟な社会を作るには、人材を、教育を変えていかなければなりません。

STEM教育では、これからの時代に必要なスキルを子どもたちのうちに育てる役割が期待されています。

しかし、日本ではSTEM教育のためのカリキュラムやICTの整備がまだしっかりできておらず、先進国の中でも最も遅れを取っているのが現実です。

とはいえ、2020年度からプログラミング教育が必修化になり、日本でもようやくIT教育が進展していくことになりました。

ここで、疑問が生じます。

プログラミング教育はSTEM教育なのでしょうか?

最後にこの点について考えたいと思います。

プログラミング教育はSTEM教育なのか

結論から言うと、プログラミング教育はSTEM教育ではありません

でも2つが全く異なるかといえば、そうではなく、プログラミング教育はSTEM教育の前段階といった位置づけになります

STEM教育とプログラミング教育の違い

STEM教育と日本で必修化になったプログラミング教育にはいくつか異なる点もあります。

STEM教育が理数系教育にフォーカスしているのに対し、小学校のプログラミング教育では、算数や理科だけでなく、国語や音楽や図工なども横断して教えます。

また、STEM教育ではエンジニアの育成を目指しているのに対し、プログラミング教育ではプログラミングスキルではなく「プログラミング的思考」を育むことを目的としています。

日本でSTEM教育を受けるには、

  • STEM教育を行なっている私立の小学校へ通う
  • LEGOロボットなどのSTEM教育教材を買って自宅で学ぶ
  • ロボット教室に通う

などの方法があります。

まとめ

この記事ではSTEM教育とは何か、というテーマでお話してきました。

STEM教育とは、

科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・数学(Mathematics)の頭文字をとった造語で、

理数系の4つの領域を横断的に、複合的に組み合わせて、体感的に学んでいく新しい形の理数系教育です。

STEM教育は、

生徒が中心になって学び、課題や答えを自分たちで考え、仲間と協力して解決していくプロジェクト型の教育です。

記事を最後までご覧下さりありがとうございました。

STEM教育が学べるプログラミング教室についてはこちらをご参照ください

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